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2024.04.18 / President Talk

岡藤正広氏の言葉

 そもそも経営者の多くは心配性で、常に先達に助言を求めているのではないでしょうか。平成初期に創業した私は、松下幸之助氏や稲森和夫氏の言葉に光明を求めてきました。そして令和の今日注目しているのが、伊藤忠商事の岡藤正広会長の言葉です。大商社のトップでありながら関西弁でざっくばらんに語るところ、駆け出しの営業マンの時期を私と同じく大阪の地で過ごされたこと、そしてまたツンツルテンの風貌が似ているところ(笑)など、岡藤氏には妙に親近感がわきます。

 本書には、パリでの紳士服生地のライセンス契約交渉で、若輩の岡藤氏が一人でかのイブ・サンローラン本人を相手に作戦を練るくだりなど、商いの醍醐味を感じさせるシーンが随所に記されている。「商いとは? 商人とは?」と自問自答し続けてきた岡藤氏のその時々の姿に、読者の多くが刺激を受けるのではないだろうか。某ビジネス誌のインタビューで、「人格者を信用するな」という井上準之助氏の言葉を大切にしていると、岡藤氏は語っている。一般に人格者と呼ばれる人は保守的な考えをしがちで、その言葉をうのみにしていては難局を打開する発想は生まれない、といった趣旨。 AIの発達もあって、過去の常識や通説がリセットを迫られる令和の時代に、「人が働くことの意義」をどう見い出すか。これからも岡藤氏の言葉に注目したい。

伊藤忠―財閥系を超えた最強商人
著者:野地秩嘉