販促通信
販促通信 2022年 夏号 No.166
加速するデジタルシフトの中で
コロナ禍で加速したデジタルシフトは、リアル店舗の存在意義を問うきっかけとなりました。米国生まれのb8ta(ベータ)、昨年、大丸東京店ではじまった「明日見世」など商品を体験することに特化した「商品を売らない売り場」の出現は衝撃的でした。24時間何でも気軽に買えて、レビューを参考に買い物の失敗も少なくなりましたが、実際に商品を手に取り確かめられることが価値になった、とも考えられます。
日本クリンテック様のボディブラシは、まさに手に取って確かめないとわからない商品。特徴や肌触りなどは写真や文章で伝えることができますが、ボディブラシは肌に直接触れるため、その感じ方も人それぞれです。商品に自信があるからこそ「手にとって試していただきたい」との思いが、このスタンド什器に込められています。
日本クリンテック様からのリクエストは、コンパクトな什器サイズと商品を手に取りやすく戻しやすい形状。2度3度と確認をいただきながら社内で試作を重ね、最終設計は協力会社さんに依頼し完成に至りました。前述のデジタルシフトから生まれた新たな需要へのアプローチはもちろんですが、お店への什器の提供が商
品導入のきっかけにもなっているそうです。変化していく売り場環境への対応など、私たちも学びの多い案件となりました。
思いの詰まったロゴマーク
神戸市に新設予定のデイサービスセンターさんから施設ロゴマークの制作のご依頼を受けました。これから多くの方に知っていただくための「最初の窓口」となる重要なツールです。施設に関わる方々の想いを丁寧にお聞きし、検討・意見交換を進めていきました。完成までに約半年を要しましたが、「みんなの想いが詰まった仕上がりだ」との高い評価をいただくことができました。「みんなのロゴマーク」として、愛着のあるロゴマークとして、これから長く使っていただけたらうれしいです。
PVC→PET
みなさんも一度は手にしたことがあるプラ素材の診察カード。10年程前はまとまったロットを製造しないと単価を下げられないものでしたが、最近ではカードを薄型化することでコストカットが可能です。クレジットカードと同等の0.76mm PVC」だったものを、 テレホンカードと同等の「0.25mm PET」の厚みにしてコストを半分にする提案をさせていただきました。薄型カードはキャッシュレス化にともなう財布のコンパクト化とも相性が良く、実用面での最適化を図ることもできました。
プラ素材に対する発色もレベルの向上で美しい券面に仕上げられたことも、日々向上する印刷技術の賜物です。
編集後記
コスト、スピード、SDGsの観点など、商品づくりに対する時代の要請は、私たちに試行錯誤の繰り返しを求めます。デザインに関しても、急ごしらえで安くあげる発想だけでは、せっかくの商品の足をひっぱることになりかねません。
最近は、クラウドソーシングを利用して早く安くつくる方法が注目されていますが、今回紹介したロゴマークなどはアイデンティティのビジュアル化という重要なテーマであり、長期の使用に耐えられる強さが必要になってきます。だからこそ、そのマークを携えて共に歩んでいかれる方々の想いをよくお聞きすることが大切だと考えています。ネット上でのコンタクトだけでは、ここに対する気持ちのあり方が違うのではないでしょうか。
私たちはお客様からのご要望と時代の要請の間でバランスをとり、可能性を少しでも高めるデザインの提案を心がけています。いっしょに考えていきましょう。
食品の広告制作に専門特化した
デザインプロダクションです。